伊藤愛
①何故この職業に就きたいと思ったのか?
高校生の時、早く自立して収入を得られるようになりたくて、卒業したら就職する事を決めました。
学校で得られる就職先情報の中にはこれと言ってやりたいことがなく…。自ら漠然と就職先を調べ始めました。そ
んな中でカメラマンという業種を見つけて応募していました。
当時、家におばあちゃんが使っていたフィルムカメラがあって、触らせてはもらえなかったけど子供の頃から使ってみたい気持ちがあり、、そんな背景もカメラマンへの興味になっていたと思います。
②何故その中でもウェディングの業界を選んだのか?
当時探していた求人情報の写真会社の中で、「家から通えるところ!」という、高校生らしい理由からその会社を受け合格しました。笑
なので結婚式というものを深く知らず、当時は特別な思い入れもない中でこの業界に入りました
③高校を出てから今までの経歴を簡単に教えて下さい。
○埼玉県内の高校(普通科)を卒業。
○新卒で某ホテル内の写真館に就職→3年間勤務。
触りたかったカメラでの初めてのお仕事、楽しかったです。
先輩カメラマンにカメラについて、結婚式について教わりながら、入社1年3ヶ月後には一人のカメラマンとしてデビューしていました。
写真館なので、写真にまつわる雑務もこなしていました。
○子供専門のハウススタジオに転職→1年弱勤務
ホテル勤務時代、ウェディング以外を撮るカメラマンと出会い興味を持ち、転職。
将来を見据えた中で、子どもをあやせたり撮れるようになりたくてキッズ専門を選びました。
○独立
同じスタジオ内で撮ることへの慣れや、子ども撮影へある程度自信もつき退職。そして新しい刺激を求めてフリーランスの働き方を選んで今に至ります。
★現在の働き方
- 結婚式場と契約をしている写真会社のカメラマン
- SNS等で直接ご新郎ご新婦様からご依頼いただく撮影
- 学校の卒業アルバムを作っている会社のカメラマン
フリーのお仕事と業務委託でのお仕事、ウェディング~学校~キッズまで幅広く撮影中。
④実際に今の職業をする中での
【醍醐味】
撮影している中で幸せな時間を共有させてもらえること。
また結婚式後にも仲良くさせて頂き、人生の節目の撮影を任せてもらえること。
お子様が生まれて抱っこさせてもらえる時は本当に嬉しい時です。
【大変なこと】
■結婚式当日の撮影で、ご新郎ご新婦様が残して欲しい瞬間はどこなのかを想像することです。
大事にしていることは1組1組違います。
そしてまたお客様はその1日に多額の金額を投資していて、ミスをすることは許されない責任もあります。
だからこそ、いろんなところにアンテナを貼り、できる限りの情報を共有できるようにしています。
■ロケーション撮影では、お2人が残したいもの、なぜ撮影をしたいのかをヒアリングするようにしてます。
なのでお問い合わせ頂いた時と撮影場所が変わることも。
■家族写真の時。こどもたちと意思疎通をするのが大変です。
年齢も違うしその子の好きな物も違うのでできる限りその子のペースと気持ちを尊重して撮影をしています。
自分の中に色々な引き出しを持つことが大切だと感じています。
【工夫している点】
撮影時に緊張させないようにしています。
どんな言葉を発したらご新郎ご新婦様が笑顔になれるか、周りの方を巻き込んだ空気感作りを大切にしています。また、たくさんの提案をできるようにしています。
⑤あなたの思うこの職業に向いている人はどんな人ですか?
相手のことを「真剣に」思うことが出来る人。
このお仕事は人対人の接客業です。
良い接客が出来てお客様と円滑な関係を築けたら、また撮影している時間も楽しく過ごせたら、より良い写真が出来上がりお客様の思い出も濃いものになる。
逆に撮影時間がつまらなかったら、良い写真でも見返さなくなるかも知れません。
どんなに写真が技術的に上手くても、ご新郎ご新婦様のことを思いやって撮影が出来ないのであれば、お2人にとって「良い写真」「大切な写真」は残せないように思います。
撮ってる時間も思い出として記憶に残るような、そんな撮影を私自身も心がけています。
⑥その職業にはどうやったら就けますか?(知る限りのいろんな方法を提示お願いします)
- 撮影会社に就職
- アシスタントにつく(好きなカメラマンさんにお願いをする。)
- 独学
個人的には写真学校に通うよりも、現場に出る方がデビューが早いと思います!
⑦学生のうちに自身がやっておいて良かった事、やっておけば良かったと思う事はありますか?
■地理・物理の勉強
ロケーションを選ぶ・撮影時間を選ぶには、太陽の動きや地形、風向きを探る必要があります。
特に日の入り日の出はものすごく大切です。
知らない土地に行くときも毎回これを調べることになるので、勉強しておくと有利ですね。
■美術の勉強
構図の勉強や影の入れ方など、写真と通じるものがあります。
またいろんな方の絵画をみたことで絵作りやイメージが湧くようになったと思います。
画家の平山郁夫さんが好きな祖母の影響もあって、小学生の頃は美術館へよく連れて行って貰いました。
個人的には東山魁夷さんの色、陰影の出し方などがとても好きです。
⑧今後の自身の展望やビジョンをお聞きかせ下さい。
1組のカップル~家族をずっと撮り続けることです。
実際のお客様でエンゲージを撮って、ウエディングの前撮りと当日を撮って、出産後に家族写真を撮らせて頂いたお客様がいます。
それが本当に面白い!変わっていく中に変わらないものがあり、変わらない中に変わるものも見える。お子様の成長も感慨深い気持ちになります。
⑨ウェディングを目指す学生に向けたメッセージを自由にお願いします。
ウェディングのカメラマンは写真の技術だけではなく、人柄だったり相手のことを思えるかが重要だと思います。
人が好きならきっと頑張れるし、おのずと技術の向上もしていけます。
他の業種から転職してくる方も多数います。なので、学生のうちからいろんな方と話すことは会話の引き出しも増えるのでオススメです。
ウェディング業界の中でも、自分がなりたい仕事に限らず、プランナーさんやヘアメイクさん…他業種のいろんな人と話すこともオススメですね
。実際に花嫁さんはいろんな業種のプロと打ち合わせをして、1つのウェディングを作っています。
実際の仕事現場で他の業種と連携を取るためにも、積極的に関わり、それぞれのお仕事への理解を深めると良いと思います。
頑張って下さい。
ーインタビューを終えてー
高校を出てすぐこの業界へ就職したこと、そしてその当時はウェディングに特別な思い入れが無かったということ。
今の彼女をよく知る私にとって、昔の彼女の話は驚くことがいっぱいだった。
19歳から緊張と責任を伴うこのウェディングの現場の中で、その責任を果たしてきたこと。
初めてのカメラ、初めての結婚式というお仕事に…と人知れない苦労や工夫や諸々があったことと思う。そんな伊藤さんの言葉に注視していると、「お客様を想うこと」「撮影そのものを楽しい時間にすること」を繰り返してくれた。
相手を想う程に、期待に応えたくて技術を磨く。
その成長がまた次のお客様の幸せにつながる、そんなポジティブなループを駆け抜けてきたように感じた。
思い返せばなんとなく始めたかも知れないこの仕事、彼女の温かい人柄にベストマッチしていると思う。
カメラマンさんて皆バイタリティがあるんだけど、伊藤さんって誰よりもそう!真冬の海の中もジャブジャブ入っちゃうし、雨で濡れた道路にもゴロリと横になり、そこ登るの⁉︎と周囲がヒヤヒヤする所にもヒョイ!笑
学生の皆さんにはぜひ彼女から「お客様を想う気持ち」がどれだけ原動力になるのか、直接教わって欲しいなと思う。
Writter ヘアメイク 西山由記